きいろいアヒル
今日も人波に流されながら、私はそんなことを考えつつ学校へ向かっていた。



教科書を詰め込んだ学生カバンも重いし。



高校生だってのに、肩こり持っちゃってるよ。



と、朝からぶーぶー心の中で文句を垂れつつ歩いていたところ。



「おはよう、香田さん」



と言う声がして、振り向くとそこにはクラスメイトの花村さんがいた。



「あ……おはよ」



「一緒に行こう?」



「う、うん」



人懐こい笑みで、花村さんが話しかけてきた。



小柄で、お肌なんかスベスベで、殻を剥いたゆでたまごのようにつるんとしている。



どちらかといえば、美人というよりかは可愛らしい子だ。



可愛くて、モテそうなのに……いつも沢原くんをとりまいているギャラリーのひとりだ。
 


花村さんとは、そんなに仲良くしている子じゃない。


休み時間も、言葉を交わすこともそうそうない。



行動する時も、別々のグループだ。



けれど、お互いに好印象を持っているのは確かだと思う。
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