みつめていた。
「ウッ・・・ハァハァハァ」
痛すぎて辛い。
「晴子、大丈夫か?」
「大丈夫・・・じゃ・・ない」
あたしの返事に焦る信。
あれから1ヶ月が経ち、あたしは病院にいた。
怪我した訳でもない。
ましてや、病気になった訳でもない。
あなたが生まれてくるからだ。
5月15日の朝の3時14分。
あたしは痛みと戦いながらベッドに倒れていた。
「看護士さんがあと少しで分娩室に行くって」
「わ・・・分かった」
できるなら今行きたい。
「ハァ・・・男ってダメだな。目の前で愛しい奴が頑張ってんのに、役に立てない」
信は悲しい顔をした。
「ハァハァ・・・ッそんなこと・・・当然だよ・・ハァハァハァ・・これは女しか・・・ハァ・・分からない痛みと・・・嬉しさ・・ハァハァ・・なんだから。
それに、信は役に立ってるよ・・」
「どこがだよ」
「ハァハァ・・あたしの背中を・・優しい手で・・さすってくれてるじゃない」
信はあたしの背中をずっとさすってくれていた。
信の優しさに勇気が出る。