みつめていた。
「おつかれ」
病室で寝ていると信が入ってきた。
「うん。赤ちゃん抱いた?」
「おう。・・・なぁ、晴子」
「ん?」
返事をすると、信が優しく笑って頭を撫でてくれた。
「俺の子を産んでくれて、ありがとう」
「・・・信」
「抱いた時さ、泣きそうになった。軽くて、小さくて一生大切に守んねーといけないって思えた」
「・・・うん」
「頑張ってくれて、ありがとう」
「・・・うん」
赤ちゃん、良かったね。
パパに抱きしめてもらって。
「名前決まったんだ」
「なに?」
「『千愛』」
「千愛《チエ》?」
「千の愛でこの子を愛するで《千愛》」
「千愛・・・。いい名前ね」
千愛・・・あなたの名前だよ?
いい名前がついて良かったね。