くつしたに穴




ジャー、とトイレの水の流れる音が聞こえる。


やばい、出て来る


そう思ったあたしは、とりあえず穴の空いた部分を伸ばして足の裏の方へ持っていき、隠した。


「なー、ケータイどこか知ってる?」

「知らない…あ、あっちにあるじゃん」

あたしは指をさす。
見事に見つけたのだ。

「あ、ほんとだ。ありがと」

「いいよー」



「…ねえ」

あたしはとりあえず、彼にバレないように靴下の穴の部分を隠す、つまり靴を履くことを試みた。


「今から外出て食事行かない?」

「え?今日は晩飯作ってくれるんじゃ…」

「あ、ゴメン、あたしオムライスの具、一品買ってくるの忘れたんだ」

「具くらい一品なくても大丈夫じゃない?」

「それが大丈夫じゃないの!!」

キッチンでオムライス作ったら、靴下の穴がバレるじゃない!

「そうなんだ…」


こうしてミッション1は成功。




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