甘い恋の誘惑
ちょっと睨むように見つめると目の前にいるミキちゃんは、
Γえっ、やばっ!!図星っすか?」
そう言ってクスクス笑いだした。そんなミキちゃんに膨らませていた頬の空気を少しずつ吐き出し、さっきよりもグッと眉を寄せる。
Γうわっ、アユさん怖いっすよ」
ちょっと身を引いたミキちゃんは苦笑いをしながら残りのオムライスを全部食べ切った。
食べ終わるとミキちゃんは水を口に含み、
Γつーか、何に悩んでんのか知んないっすけど、時間が経つ事に風化しちゃいますよ」
そう言って、もう一度、水を口に含んだ後コップをテーブルに置いた。
Γ…風化?」
その言葉に引っ掛かったあたしは思わずポロッと口に出す。
Γそうそう風化。崩れちゃうんですよ何もかも…。あたしがそうだったからね」
Γそうだったって何が?」
ミキちゃんは鞄の中から携帯を取り出し時間を確認した後、テーブルに携帯を置いた。
Γ今のアユさんみたいに悩みまくってたら、時間が経ち過ぎて決断した時にはもう遅かったんですよ。もうその人には女が居て、遅いって言われたんです」
ミキちゃんは呆れた様な哀しい様などうしようもないって言う顔つきでため息を吐き出し、携帯を握り締めて立ち上がった。
Γ先、行きますねー」
ミキちゃんは鞄を肩に掛け、軽く手を挙げて歩きだした。