甘い恋の誘惑
Γデートじゃないから」


素っ気なく返し、あたしはチケットを鞄の中に突っ込む。


Γデートじゃないって、どう見てもデートのお誘いじゃないですかぁ…。知ってます?先輩!」


身を乗り出して見つめてくるユリちゃんに少しだけあたしは身を引いた。


Γ何?」

Γそのクルーザーって全てが高級で高いんですよ?で、もう1つで有名な場所なんです」


そう言ってユリちゃんは口角を上げて蔓延の笑みで微笑んだ。


Γもう1つで有名って?」

Γやっぱアユ先輩知らないんですね。 confessionですよ」

Γへ?」

Γだーかーらー… confessionですってば。告白ですよ告白。もしくは proposal」

Γプ、プロポーズ!?」


思わず目を見開いて叫ぶあたしに、ユリちゃんはクスクス笑いだした。


Γそうですよ。で、有名な場所って言われてるんです」

Γいや、あたしただ食事に誘われただけだし」

Γだから食事イコールでしょ?そんな高級な所で食べて、サヨウナラなんてありえないでしょ」

Γいや、でも…」

Γもー先輩ってば鈍いですねぇ…」


ユリちゃんはクスクス笑いながら菓子パンを頬張った。



もう時間な為、売り場へと戻る途中、さっきユリちゃんが言ってた言葉が頭から離れなかった。


って言うか、金曜日って明後日だし…


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