甘い恋の誘惑

頭の中がごちゃごちゃなまま、あっという間に金曜が来た。

予定を開けとくと言うか、もともとあたしは早番だった。だから18時上がり。


勿論、雄二さんも早番でたまたま会った雄二さんに終わったら社員用出入口で待ってるって言われた。

って言うか行くか行かないかの返事さえしてないのに、何故かもう行く予定になってた。


別に雄二さんが嫌いって訳じゃない。でも、ただユリちゃんの言葉が引っ掛かってた。

雄二さんはあたしの気持ちが知りたいと言っていた。あたしの気持ちって…そんなの何もないし。

でも、もしかしたら…あしが必要として居る人は雄二さんなのかも知れないって少しだけど、ほんの少しだけど、そう思ってしまった。


いつもの休憩中、あたしは時間を確かめようと鞄の中から携帯を取り出したその瞬間。

その一瞬の瞬間。携帯にくっついていた紙切れがヒラヒラと下に舞い降ちた。


何気なく拾って何気なく開いたその紙切れに、何故か身動きが出来なくなった。

莉子がくれた紙切れ…。大和が住んでる住所にBarの店の住所。

時間が欲しいと言ったあたし。もう、あれから2週間は経ってる。




大和はあたしの返事を待ってる――…


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