甘い恋の誘惑
“いつものアユと違う――…”
って事はいつもあたしの事を見てるから言える事であって、それはどう言う対象で見てんのかあたしには分からなかった。
中学からの莉子の親友として――…
ただ単に甘え上手なアンと比べて違うのか――…
思わず吐き捨ててしまった、どうしようもないため息とともに視線を逸らし、あたしは大和を避けて足を進める。
暗い夜道にあたしの足音が響き、それと同時に、
Γ何なんだよ…」
面倒くさそうに呟く大和の足音が背後から再び聞こえた。
大和が追ってくるのが当然の事って思うからあたしは足を進める。大和は一人っきりにあたしを置いて行かないって分かってるからあたしは足を進める。
いつだってそう。2人っきりになったら大和は絶対にあたしを置いて行かない。それはただ単に暗い夜道に女を一人にはさせちゃいけないって思ってるんだか知んないけど。
言い合ってても結局、大和はあたしの家まで着いて来てる。
ただ単にそうするのも大和が女なれしてるからなんだろうか…
でも、それが嫌じゃないのはどうしてだろう。分かんないこの真相にまた苛々が積もってくる。
Γ大和…もういい。もうすぐ家だから」
気付けばほんっとに可愛くない態度であたしは素っ気なく返してる。
でも、本当に少しの距離であたしの家だから。大和に申し訳ないって言う気持ちはあたしにだってちゃんとあるから。
なのに大和は、
Γいや、よくねぇ。アユが機嫌悪かったら俺、今夜寝れねぇし…」
意味わかんない言葉を吐き捨てまだ着いて来る。