甘い恋の誘惑
Γ女じゃねぇよ!!」
何故か大和は携帯をポケットから取出し、画面を見た途端、苛々しながらあたしに向かってそう声を張り上げた。
そして大和は電話に出る事もなく着信を消し、パチンと携帯の閉める音を弾かせまたズボンに突っ込んだ。
そして、また大和は深く息を吐き捨てる…と同時にあたしの腕は大和に勢いよく引っ張られ必然的に転けそうに立ち上がった。
Γちょっ、危ないじゃん!!何すんのよ」
大和に向かって、あたしはそう叫ぶ。だけど大和は何も言わずにあたしの腕を引っ張ったままグイグイ足を進めて行く。
Γちょっと大和ってば!!」
Γ……」
張り上げるあたしの声とは逆に大和は不機嫌そうな顔で何も言わず足を進めて行く。
どれくらい歩いたのかも分からないくらい歩いた。時間的には30分も歩いただろうか…いや、それすらも分かんない。
だけど結構歩いた。足が絡まりそうなくらい疲れきった時、駅の駐輪場まで来た大和は埋もれそうなくらい混雑した所から自転車を引っ張り出した。
Γねぇ、大和。どこ行くのよ」
Γ俺んち」
素っ気なく返した大和に、
Γはぁ!?」
あたしの弾けた声が辺りを響かせた。