甘い恋の誘惑

布団に身を潜めて時間が経つ事になんだか淋しくなってくるのは何故だろう。

分かんないけど不意にそう言う感情になる時がある。


家の前でアンと男を見たからだろうか。仲良きアンと男を…

これから何をするのだって想定はつく。あたしの隣の部屋はアン。薄い薄い壁から甘ったるいアンの声が聞こえてくる。だからあたしは帰りたくなかったんだ。

決してあの時、アンがあたしが居ない事に喜んでたのを真に受けて帰らなかったんじゃない。ただ、隣からアンの声を聞きたくなかっただけなんだ。





Γ…なぁ、アユ?」


不意に聞こえた大和の声。もうとっくに寝たんだとばかりに思っていたあたしは、その大和の声で身体が少しだけビクッとした。


Γ寝たか?」


そう言ってくる大和にΓううん」と小さく呟く。


薄暗い部屋の中から小さく漏れた大和のため息が異様にも大きく聞こえた。

声を掛けてきたのにも関わらず、大和はその次の言葉を発しない。ただあたしが寝たか寝てないかを確認しただけなんだと思った時、大和はポツリと呟いた。


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