甘い恋の誘惑

大和は女にいつも囲まれててて同学年、後輩からも人気があった。

なのに特定の女は作らなかった。だから、何でだろーって言う周りからの声もよく聞いていた。


なのに何で急に女。よりによって彼女。

その“彼女”と言う響きがあまりにもあたしに大きくのしかかった。


しっくりこないこの感情。
あたしから遠ざかっていきそうなこの距離感。
もう大和には近付けないと思うこの不安感。


よく分からないあたしの胸騒ぎはいったい何なのか分かんない。



Γでもさ、大和に女ってね。どうしたんだろ、急に…」


あたしと同様、莉子も同じ気持ちだったらしい。


Γさぁ…ね」

Γあたしさ、てっきり大和はアユの事が好きなんだと思ってたよ」

Γいや、それはないよ」


あたしはあえてあの時の出来事を莉子には言わなかった。

隠すつもりはないけど、もう過ぎ去った事、終わらせた事をいちいちあたしは表に出すのが面倒なだけだった。

あたしが好きだったら、彼女なんて作んないでしょ。あの時から大和はあたしの事、吹っ切ったんだ。



< 44 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop