甘い恋の誘惑
大和は女にいつも囲まれててて同学年、後輩からも人気があった。
なのに特定の女は作らなかった。だから、何でだろーって言う周りからの声もよく聞いていた。
なのに何で急に女。よりによって彼女。
その“彼女”と言う響きがあまりにもあたしに大きくのしかかった。
しっくりこないこの感情。
あたしから遠ざかっていきそうなこの距離感。
もう大和には近付けないと思うこの不安感。
よく分からないあたしの胸騒ぎはいったい何なのか分かんない。
Γでもさ、大和に女ってね。どうしたんだろ、急に…」
あたしと同様、莉子も同じ気持ちだったらしい。
Γさぁ…ね」
Γあたしさ、てっきり大和はアユの事が好きなんだと思ってたよ」
Γいや、それはないよ」
あたしはあえてあの時の出来事を莉子には言わなかった。
隠すつもりはないけど、もう過ぎ去った事、終わらせた事をいちいちあたしは表に出すのが面倒なだけだった。
あたしが好きだったら、彼女なんて作んないでしょ。あの時から大和はあたしの事、吹っ切ったんだ。