甘い恋の誘惑

Γねぇ、3年の大和って知ってる?」

Γあ…、はい」


さすがだ。大和の名前を出すだけで大抵の女は知ってるって言うのは、どうやら本当だったらしい。


Γあのさ、そいつの女ってどの子?」


莉子も莉子だ。そう言うのも平気で聞く莉子も何だか凄く思ってしまった。


Γえ?」

Γだから大和の女。2年に居るんでしょ?その女」

Γえ、あ…」

Γもしかして知らないの?」

Γいや、知ってますけど」

Γじゃあ早く教えて」

Γあ、はい」


莉子の凄い押しに負けた女の子は戸惑い気味に返事を返し、ゆっくりとした足取りで歩き始めた。


Γやっと見れるよ」


あたしの耳元で呟いた莉子は本当に嬉しそうで何だかワクワクした感じ。

それとは打って変わってあたしは何が楽しいのか何が嬉しいのかさっぱり分からなかった。


Γ多分、このクラスだと…」


女の子はたどり着いた教室の中を見渡しながら、そう呟く。


隣からΓえ?どれ?どの子?」なんて興味津々の莉子の声が耳に入ってくる。

そんな莉子の言葉を無視してあたしはボーっと廊下に視線を移してた。

そう…移してた時だった――…


Γあっ!あの人です。あの人」


そう言った女の子の声であたしは無意識の内に反応し、目を教室の中へと向けてた。


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