甘い恋の誘惑

Γどうも。ありがとう」


そう言った莉子に女の子は軽く会釈をし、この場から離れる。


スッと目を送る先には2年の中でも美人と言われる女の子が周りにいる女達と楽しそうに話してた。

どっちかって言うと可愛い系。薄い茶色のセミロングの髪をした小さな顔の女の子。


あれが大和の彼女。告ったのはどっちだろう。大和か…それとも女か。

2年生とはさほど接点がないから何となくその辺りが気になった。


Γなんだ。案外普通じゃん」


不意に聞こえた莉子の声に目を向けると、莉子はいまいち納得出来ない様な顔付きで言葉を続けた。


Γ美人って聞いたから来たけど案外普通じゃん。まぁ、確かに可愛いけどさ」

Γ……」

Γ大和の女だから、もっとこう…なんて言うのかな…浮いてるって言うか派手だと思ったよ。ほらアユみたいな…」

Γは?」


独り言の様に呟いてた莉子の言葉に思わずあたしは反応し、すっとぼけた声が口から飛び出していた。


Γだって、いつも大和の周りって派手目じゃん。アユだって派手だし」

Γあたし関係なくない?」

Γま、そうかもだけど。アユ系タイプかと思ったからさ」


何でそこであたしの名前を出すのかがイマイチ分かんない。

ただあたしはアンと間違えられたくないだけにあって、変えた自分。

決して派手になりたいと思ってした自分じゃない。


じっくり大和の女を見た後、

Γさ、行こっと」


さっきとは真逆の態度で足を進めて行く莉子に思わず声を失った。

あれほど見たい見たいと興奮して見に行ったにも関わらず、思いが違ったのか莉子は素っ気なく帰って行ってしまった。


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