甘い恋の誘惑

ラストまで仕事をこなし、あたしは雄二さんの後を追いながら足を進めた。

いつも飲み会とか食べに行く常連みたいになっている小綺麗な居酒屋。


店内に足を踏み入れるとこれから騒ぎだすだろうと思われる人達で席は埋まってた。


Γあ、あそこでい?」


そう雄二さんが指差したのはカウンターで、丁度2人分の席がポッカリと空いていた。


Γいいですよ」


そう言ったあたしに雄二さんはニッコリと笑い、足を進ませる。2人分の空席にあたし達は身を納め、雄二さんはすぐに生ビールを2つ注文した。


Γあ、アユちゃんビールで良かった?」

Γあ、はい。そんな強くないですけど」


そう言って苦笑いするあたしに雄二さんは、


Γ見た目、強そうなのに」


薄ら笑いながらそう呟いた。


Γいやいや、見た目で決めないで下さい」


軽く微笑みながら返すあたしに雄二さんも笑って返す。

昔っからそう。見た目で決められるのは好まない。あの頃のあたしは周りから全て見た目で決められていたから。

まぁ、半分は周りの意見もあってるんだけど、勝手に決められる事は好きじゃない。


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