甘い恋の誘惑
┣邂逅
5年振りに足を踏み入れたのは懐かしく感じる風景。そして、なんだか懐かしい匂いがした。
Γ全然、変わってない」
辺りを見渡しても変わる事なく、あたしが離れてから景色すら変わっていなかった。
2時間と言う電車の旅に疲れたあたしは着いた頃にはもう何だかぐったりとしていて、その疲れたままの身体で今から同窓会が行われるCityHotelまで向かった。
そのHotelに足を踏み入れた時には、開始から10分遅れた16時10分だった。
入ってすぐ受付を済ませ、会場へと向かう。廊下には××年卒業生、…――同窓会。と大きく書かれてあって、その目的の扉をあたしは開けた。
凄い広い会場に丸いテーブルが数十台置いてあり、その上にはオードブルが大量に置かれている。
笑い声、ザワザワした声が長年の懐かしさを感じさせる。
先に入ってると言った莉子を探す為、辺りを見渡している時だった――…
Γあ、あれアユじゃね?」
Γどれどれ?」
Γうわっ!つーか、すげぇ綺麗じゃね?まぁ前から美人だったけどよ。なんか派手じゃねぇからアンと間違えそう…」
なんて、これから何だか思いやられる声が次々とあちらこちらから飛んできた。
その言葉達に思わず深いため息が漏れる。また、あたしアンと比べられている。
あぁ、そっか。5クラス合同だからアンも居るのか、きっと…
なんか、憂鬱な気分。だからあまり来たくなかったんだけどな。