甘い恋の誘惑
Γ大和は?大和は今、何してんの?」
Γん?俺?」
もう一度タバコをくわえる大和にあたしはコクンと頷き、大和はタバコをくわえまま小さく呟いた。
Γバー店」
Γへー…カッコいいじゃん。なんか大和らしいね」
Γ俺らしいって何?」
Γいや、何かそう言う雰囲気持ってんじゃん。大和は…」
Γ何だそれ」
鼻でクスクス笑う大和はくわえていたタバコを離し、煙を吐き出す。
もう…本当に大人なんだ、大和は…。あの頃の幼い面影なんて一つもない。あたしなんかよりずっと大人に見える。
そう言えば莉子がさっきチラッと言ってた。アユと同じく帰って来ない奴って…
Γねぇ、大和?」
Γうん?」
Γ大和って、ここから離れてんの?」
Γここからって?」
Γいや、だから違う所で住んでんの?」
そう言ったあたしに大和は呆れた様に鼻で笑い、
Γつか、マジで俺の事、何も知らねぇんだな」
ため息混じりでタバコの煙と吐き出し、灰皿にタバコを磨り潰した。
Γ知らないよ、そんなの…。もう何年も会ってないし」
Γ相変わらず酷ぇな、アユは」
哀しそうに鼻で笑いながら呟き大和はソファーに深く背を預け、両腕を頭の後ろで組んで天井を見上げる。
Γ相変わらずで悪かったね」
大和を見ながら素っ気なく返すあたしに、
Γま、それがアユだけどな」
そう口角を上げて微笑み大和はチラッとあたしを見て言葉を続けた。