甘い恋の誘惑
Γいや、なんかあの頃の事、思い出したら懐かしいなぁーって…」
Γまぁな…」
記憶を辿って思い出してると隣に座ってる大和もボーっとしてて何か考えている様だった。
決してあたしの中ではいい思い出なんかじゃない。だけど、莉子達の思い出は大切にしたい。
時の流れは過ぎるとあっという間で、その大和との空白を何も無かった様にして今こうして普通に話せた事に少しだけ嬉しく感じた。
それは何でか分かんない。ただあの頃みたいに大和と居たら落ち着ける。何も話さなくっても、ただ大和が隣に居るだけで落ち着ける。
Γちょ、あれ大和先輩じゃない?」
Γうっそ!どこどこ?」
Γほらソファーに座ってるの絶対そうだよ」
Γそう言えば今日、先輩達の同窓会らしいよ」
Γヤバイ!!あの頃よりカッコよすぎる」
背後からまたまた聞こえてくる華の声に思わず、あたしの口から呆れた様なため息と苦笑い気味た笑いが漏れた。
さすが大和。
隣に居る大和は聞こえてんのか耳に入ってんのか知んないけど、新しいタバコに火を点け天井を見上げながら煙を吐き出す。
やっぱ…あの頃と全然変わってない。
暫くお互い口を開く事なく刻々と時間が過ぎていった。その沈黙を一気に打ち切ったのは、電話。
大和のポケットから鳴り響く携帯電話だった。