甘い恋の誘惑
Γあー…もう疲れたよぉ」
Γ最近、なんか急に忙しいっすよねぇー」
ラストまで終えたユリちゃん、ミキちゃんと一緒にあたしは店を後にした。
Γ新しい商品の仕分けとか検品もあるから余計忙しく感じるんだよ」
Γでもアユ先輩って凄いですよね」
ふと呟いたユリちゃんの言葉に首を傾げながら、Γ何が?」と問い掛ける。
Γだってアユ先輩って絶対に疲れたって言わないですよね」
Γあー、それあたしも思ってた。アユさんって疲れた顔見せないっすよね」
Γそんな事ないと思うけど…。あたしだって疲れるし」
ユリちゃんとミキちゃんが言う言葉にあたしは“そうなのかな…?”と考えながら呟く。
Γいや、でもアユさんはあたしの尊敬の人です」
Γあっ、あたしもそう思いますよ?ってかずっと思ってました」
そんな2人の会話に、
Γいやいや、煽てたって無駄だよ。何も奢んないから」
そう言って苦笑い気味に返す。
Γそう言う意味で言ってませーん」
ミキちゃんは笑いながら頬を膨らませた。
くだらない話をしながら社員用出入口を出ると、まだこれから動きだそうとする人達であふれかえってた。
Γ…アユ?」
不意に聞こえた声に今から駅に向かおうとするあたしの足がピタッと止まる。
その声にゆっくり振り返ったあたしの目は思わず見開いた。