甘い恋の誘惑
Γアユが俺の事なんとも想ってねぇって事くらい分かってる。ほら俺、一回アユに振られてるし」
そう言った大和は情けないような悲しい様な笑みを漏らし、小さなため息を吐き捨てた後、また言葉を続けた。
Γでも…そう思ってても、やっぱ俺、アユじゃないとダメだわ」
Γ……」
Γアユに断られてから、俺付き合ったの知ってんだろ?あれ結局はアユを忘れる為だった」
Γ……」
Γまぁ、すぐに別れたけどな。卒業してからも何人かと付き合ったけど、でも全然長続きしねぇんだよ。その意味って分かる?」
Γ……」
そう言った大和の視線がこっちに向かってるってのが何となく分かった。
見てないけど大和の動いた気配を感じたから。
そして大和は――…
Γアユが好きだから…」
そう呟いた大和の言葉にジン…と胸が熱くなったように感じたのは何でだろう。
分かんない。大和が好きだから?いや…、違う。大和に好意を持ってたのは5年も前の事。
当日、大和を断ったのは男は信用出来ないって事とアンが居たから。でも、今はそんな理由じゃない。
あの頃は分かんなかったけど友達以上、恋人未満の境界線が今なら分かる気がした。
あたしが大和を想う気持ち――…
その微妙なラインにあたしは居る。