甘い恋の誘惑
大和に言われてから1週間が経った時だった――…
Γねぇ、アユ?」
そう言ってあたしのマンションであたしの目の前に居るのは莉子。
莉子は俊との子供を産み、あたしと話したいと言った莉子は一人であたしのマンションまで訪れた。
キッチンで温かいレモンティーを2つのコップに注ぐと、あたしはそれを持って莉子が居るテーブルに置く。
Γありがと」
Γうん」
Γで、大和…アユに会いに来たんでしょ?ねぇ、アユ?」
莉子は覗き込むようにしてあたしをジッと見た。そんな莉子の力強い目に、あたしは目を逸らしコクンと頷く。
そんなあたしに莉子は“やっぱし…”って顔をし、少し躊躇った様に口を開いた。
Γあのさ、本当は俊に言われてんだ。お前が口を突っ込むなって。第三者のお前が口を割るなって…。ガキじゃねぇんだからほっとけよって…」
Γ……」
Γ分かるの。俊が言ってる事よく分かるの。でも、それじゃあ、あたしが納得いかなくて。アユからしたらお節介かも知れないけど、どうしてもアユに言いたい」
Γ……」
Γあの時、あの同窓会の時、言うつもりだった。だけどそんな雰囲気じゃなかったから」
そう言葉を次々に並べて言ってくる莉子をただただあたしは目の前にあるカップを両手で囲んでずっと見てた。