甘い恋の誘惑
Γ卒業してからさ、1年に1回は大和、帰ってきてた。俊とさ、あたしと大和で飲みに行くんだ」
Γ……」
Γその時にあたしがポロっとアユの名前を何回か出した時があった。じゃあ、大和さ、いつも視線逸らすの。アユの名前聞いただけで口数少ないし、寂しそうな顔するんだ…」
Γ……」
Γそれで分かったの。あぁ、やっぱ大和ってアユが好きなんだなって」
Γ……」
Γそれに…」
そう突然、声のトーンを下げた莉子が気になり、思わず目を向けると莉子は真剣な顔をしてあたしを見てた。
Γそれに…何?」
Γそれに…アユはずっと大和の事が好きだった」
そう言われた途端、何故だか分かんないけどあたしの目が泳いだのが自分にでも分かった。
Γ何でそう思うの?」
一旦、視線を落としあたしは小さく呟く。
Γ涙。それはアユの涙」
Γえ?」
一旦目線を落としたものの、莉子が言ってきたよく分からない言葉に戸惑い、またあたしは莉子を見つめた。
Γアユは普段から絶対に泣かない。嫌な事があっても絶対に泣かない。でも、そんなアユでもさすがに大和の事になると泣いてたね」
莉子はそこまで言ってカップに手を伸ばし、レモンティーを口に含み、そしてさらなる言葉を続けた。