On The Wind



雪乃は、強い。


雪乃がもう一度咲かせた花。


学園祭の最終日、秋元先輩に雪乃が呼び出された。

私も途中まで付いて行って、物陰から二人の様子を見ていた。



――――――――――――


「・・手紙、ありがとな」


「あ、いえ、すみません、あきらめきれなくて、あたし」


「嬉しかったよ、俺、愛されてんなーって」


そういって爽やかな笑顔を雪乃へ向ける。

真っ赤に染まる頬を隠すように、うつむく雪乃。


「でも、俺そんな資格、全然ないんだよ」


その言葉を理解できるまでもなく、秋元先輩はもう一度口を開いた。

まだ雪乃はうつむいたままだった。



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