On The Wind
「俺、中2から好きなやついてさ。
やっとの思いで告ったのが中3。
その答えは、高校は別々になるけどそれでもいいならって。
そんときは全然なんも考えず超喜んだ。
だけどすぐに現実は振りかかってきた。
高校がもう決まってる俺とは違って、彼女は受験しなきゃならない。
しかも超難関校でさ。
全然会えないことを理由に、あたったりして喧嘩もした。
だけど、それでも優しく俺に謝るんだ。
最低だよな。自己中すぎて。
でも謝られると、そんときは逆にガキ扱いされてる気がしてむかついた。
んで、彼女は難関校に受かって、
春休みは遊べるかなって思ってたけど、課題あるからって。
どんどん距離は開いていった。
そのまま今もときどき連絡はとるけど・・もう彼女ではないかな。
そうやって俺はまだ過去を引きずってる。
カッコ悪いっしょ?・・「カッコ悪くなんかない!!」
悲しげな笑顔を見せた秋元先輩は、雪乃の一言でかき消された。
「カッコ悪くなんか・・ないです。むしろ、すごくかっこいいですよ?
あたしが好きな人は、一途な人だって自慢です。
ただ・・ただ・・すごくうらやましい。
その、秋元先輩の気持ちを独占できる彼女が」
泣き顔を頑張って笑顔に変えながら秋元先輩を見つめた雪乃。
その瞬間、雪乃は秋元先輩で見えなくなった。
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