大空の唄
俺らの前に現れた
小柄で色白の同い年くらいの少女…
練習後の帰り道で
空はもう茜色に染まり始めていた
「何か用?」
何かを言いづらそうに
モジモジとする少女に言葉を促す
「あの…あたしと友達になって下さい!!」
え…?
俺らは顔を見合わせる
急に現れて友達になって?
よく分からなかったが
俺らはそれを受け入れた
今まで避けられてきた俺らに
近付いてくれる人が現れた
素直に嬉しかった
どんどん壁が壊れていく
どんどん世界が広がっていく
少女は明るくて話上手で
人見知りの陽や空とも直ぐに打ち解けた
一緒にご飯を食べに行ったり
手料理を作ってくれたり
練習中に凝った肩をマッサージしてくれたり
俺らは少女を信頼していた
「友達って…いいな…」
少女を家に送った帰り道
空がらしくないことを呟く
空には既に数えきれない程の
星が輝いていた