大空の唄


「じゃあ行こっか!」


そう言って強くあたしの腕を掴む金髪男


強い力に少しびっくりしたけど


男の人は力強いしね…


あたしは引っ張られるがままに進んでいく


「あのー」


前をどんどん進んでいく2人の背中に問いかける


「あたしの友達知ってるの?」


不意に感じた疑問だった


2人はピクリと肩を震わせたあと


立ち止まるどころか少し早足になり


「知るわけ、ないじゃん」


呆れたような馬鹿にしたような声が聞こえた


えっ!?


「じゃあどこ行くの?」


あたしは必死に足を動かしながら
少し大きな声で尋ねる


「いいとこ、だよ」


薄暗くなったのと2人が少ししかこちらを
振り向かなかったせいで表情は見えなかった


だから、2人が怪しく微笑んだのも


善からぬことを考えていることも


あたしには分からなかった…

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