大空の唄
「いいとこってどんなとこ?」
「うるせーな…黙って着いてこい」
茶髪男は苛立ちを隠せないように語気を強めるが
「なーに!?」
同時に吹いた大きな風に書き消され
男の声はあたしの耳には届かない
何なの、この人たち急に態度変わってない?
首を傾げるあたしの横を風が再度ぶわっと通り過ぎた
そしてそれと共に掴まれていない片方の手を後ろから誰かに掴まれた
「えっ?」
前に引っ張られているのに
後ろからそれを遮られ
あたしの動きもあたしを引っ張る金髪男の動きも同時に止まる
一瞬の出来事に何が起こったのか理解するのに時間がかかった
「何だよテメー」
前の2人は振り替えると同時に眉間にシワを寄せて威嚇する
状況を理解しきれないあたしも
ゆっくりと後ろを振り返った
「俺の女に何か用?」