大空の唄
振り返ったあたしの動きが一瞬止まり直ぐに驚きで目が丸くなった
どうして?
そこにはあたしの腕をしっかりと掴み不機嫌そうに眉をしかめる蒼空がいた
眼鏡が違うから一瞬誰か分からなかった…じゃなくて
何で蒼空がここにいて、あたしの腕を掴んでいるんだろう
「手…離せよ…」
どうやら蒼空はかなりご立腹のようで鬼のような形相で男たちを睨む
「チェッ…男いんのかよ」
男たちは分が悪いというように
そそくさと闇に消えて行ってしまった
「どうしたの?てかなんで?」
腕を掴まれたままの状態で体ごと蒼空の方を向く
「何でじゃねーよ!」
一瞬表情を緩ませたと思ったら再び眉間にシワを寄せ声を荒げた蒼空に
あたしは反射的にビクッと肩を上げ
「ごめんなさい…」
訳も解らぬままとりあえず謝罪をする
「訳も分からず謝んなよ」
蒼空はそう言って一度大きくため息を着いた
図星なだけに何も言い返せない
「あいつら知り合い?」
蒼空の言葉に首を横に振る
「じゃあなんでノコノコ着いて
行ってたんだよ!?」
「先輩たちのとこに案内してあげるって…」
「その先輩たちは!?」
あたしは一呼吸おいて控えめに呟く
「はぐれた…」
再び大きなため息の音が聞こえた