大空の唄
声の聞こえた方を向くと
「ごめん、無理矢理呼んで」
困ったようにはにかんだ先輩がいた
茶色くてサラサラした先輩の髪が風に揺れる
あたしは声は出さず首を左右に降った
「ありがとう
隣、座っていい?」
「あ、はい!」
あたしは慌てて少し左に寄る
そして、先輩との距離が近くなる
大切な用事って何だろう?
そう思うけど、言えなかった
先輩から漂う雰囲気がそうさせてくれなかった
隣に座っただけで何も話そうとしない先輩
チラッと横を見ると凛とした横顔は何故か強張っているように見えた
あたしは息を飲む…
悪い、ことなのかな?
そんな不安が募っていく中
沈黙を破ったのは先輩だった
「昨日、誰といたの?」