大空の唄


「はぁはぁ…」


家の近くまで来たあたしは
荒い呼吸を整え涙を拭きながら走る足を止めた


心の中には数えきれない後悔と罪悪感


そして疑問が交互に浮かんではあたしを苦しめた


何で、逃げちゃったんだろう…


自分のことなのに自分の行動が分からない


ずっと引っかかっていたモヤモヤしたものが
一気に膨らんであたしの心を締め付けた


そんな感じだった


「あたし、最低だ」


先輩怒ってるかな…


そんなことを考えながら俯いていた顔を上げると


あたしの住むマンションの前に
誰かを待つ人影が見えた


誰だろう?


と考えているとその人と目が合う


「絢音ちゃん」


「…翔くん!?」


変装していて普段とは別人だけどその声は間違いなく翔くん


翔くんはニコッと微笑むと頷いた


< 151 / 378 >

この作品をシェア

pagetop