大空の唄
「はぁはぁ…」
家の近くまで来たあたしは
荒い呼吸を整え涙を拭きながら走る足を止めた
心の中には数えきれない後悔と罪悪感
そして疑問が交互に浮かんではあたしを苦しめた
何で、逃げちゃったんだろう…
自分のことなのに自分の行動が分からない
ずっと引っかかっていたモヤモヤしたものが
一気に膨らんであたしの心を締め付けた
そんな感じだった
「あたし、最低だ」
先輩怒ってるかな…
そんなことを考えながら俯いていた顔を上げると
あたしの住むマンションの前に
誰かを待つ人影が見えた
誰だろう?
と考えているとその人と目が合う
「絢音ちゃん」
「…翔くん!?」
変装していて普段とは別人だけどその声は間違いなく翔くん
翔くんはニコッと微笑むと頷いた