大空の唄


「はい!」


翔くんが手に持っていた紙袋をあたしの前に差し出した


「空ん家に忘れてたよ」


それを受け取り中を見ると薄いピンクのマフラーが入っていた


間違いなくあたしのだ


「うそっ…わざわざごめんね?」


「ううん、もっと早く気付いてたら空にバイトの時に持って行かせたんだけど…」


だけど…?


急に表情が曇った翔くんに何故か嫌な予感がした


「あれ?聞いてない?」


聞いてないって…何を?


「俺たちもうすぐ全国ツアーだから
空、調整のために暫くバイトを休むんだよ」


え…


「聞いてなかった?」


SONG OF SKYがツアーをすることは知っていたけど…


あたしは小さく頷いた


「ツアー、いつからだっけ?」


「ちょうど1週間後」


一週間後…


「いつ、帰ってくる?」


「んー…2ヶ月くらいは
帰ってこれないかな

かなり大きなツアーだから」


2ヶ月も…


って、あたしは何を悲しんでるんだろう


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