大空の唄

箱の中の世界 -SORA-


*****


──この頃の俺は自惚れていたのかもしれない


目をつぶり小さく息をする


目の前の、状況に、
すぐそこにある未来に



集中するために



「緊張してるの?」


うっすら目を開けると
八重歯をちらっと見せ
微笑む陽(ヨウ)が問いかける


今さら緊張なんて…


「するわけないだろ?」


俺の心を俺より先に口にしたのは
爽やか清楚スマイル…気取りのチャラ男


「空が緊張するわけない…


だろ…?」


翔(ショウ)は赤っぽい茶色の髪を
整えながら俺の返事を待つ


「ああ…」


"慣れ"そう呼んでしまうとあまりに呆気ない…


「笑顔、忘れるなよ?」


真っ黒の髪を綺麗に整え
真っ黒のスーツを身にまとった
マネージャーと名乗る男が


俺の肩を軽く叩く


分かってるよ、言われなくても


「分かってる」


俺に拒否権なんてないって事も…


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