大空の唄
箱の中の世界 -SORA-
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──この頃の俺は自惚れていたのかもしれない
目をつぶり小さく息をする
目の前の、状況に、
すぐそこにある未来に
集中するために
「緊張してるの?」
うっすら目を開けると
八重歯をちらっと見せ
微笑む陽(ヨウ)が問いかける
今さら緊張なんて…
「するわけないだろ?」
俺の心を俺より先に口にしたのは
爽やか清楚スマイル…気取りのチャラ男
「空が緊張するわけない…
だろ…?」
翔(ショウ)は赤っぽい茶色の髪を
整えながら俺の返事を待つ
「ああ…」
"慣れ"そう呼んでしまうとあまりに呆気ない…
「笑顔、忘れるなよ?」
真っ黒の髪を綺麗に整え
真っ黒のスーツを身にまとった
マネージャーと名乗る男が
俺の肩を軽く叩く
分かってるよ、言われなくても
「分かってる」
俺に拒否権なんてないって事も…