大空の唄
「ち、違う!!
暇だったから来てやっただけ」
否定されてもあたしの口元はにやけっぱなし
例え違ってても、あたしの勘違いでも良かった
蒼空は本当はすごく優しい
ただその優しさを伝えるのが苦手なだけで…
「照れなくていいって!」
「照れてねー」
服の裾で隠された蒼空の顔は
心なしか薄紅色に見えた、気がした
そんなことされたらさ…
余計好きになっちゃうじゃん
「ねぇ蒼空…」
背を向けた蒼空は聞いているか
聞いていないか分からない
でもあたしは続ける
「先輩と別れようと思った
もう1つの理由教えてあげよっか?」
少し間を置いて蒼空の背中から
「言いたきゃ言えば?」と小さな返事が返ってきた
「あたし、蒼空のことが好きなの」