大空の唄
「つか、陽いつから"絢ちゃん"
って呼ぶようになったんだよ?」
その言葉と同時にテーブルに
グラスを置いた音が響く
「えっ?ひ、み、つ」
そう返された言葉にはどこか
嫌味っぽさが感じられる
語尾にハートが付きそうな感じだ
たしか今始めて呼ばれたよーな…
そう思ったけどそれを口に出来る雰囲気じゃない
「はぁ?じゃあ俺"あや"って呼ぶし」
そう言って許可を求めるように
視線をこちらに向ける翔くん
「い、いいよ」
そう笑顔で返すと翔くんは
小さくガッツポーズをした
「あ!あやも俺のこと"翔"で良いよ」
「あー翔ずるい!
絢ちゃん俺も"陽"でいいよ」
「真似すんなよ!」
「先に真似したのは翔じゃん」
「うるせー」
お酒が入っているからか
いつも以上に激しい言い合いをする2人に
苦笑いを浮かべながらあたしは何度も頷いた
相変わらず仲いいなー
まるで兄弟みたいだ、そう思った
「で、何歳なの?」
再び話の主旨を戻すと言い争いは
びっくりするほどキレイに終わった