大空の唄


隣を歩くのはおこがましい気がして


あたしはサユリさんの一歩後ろを歩く


校舎に入るまでサユリさんは
会う人会う人に声をかけられた


サユリさんの同級生そして後輩、男にも女にも


スタイルも良くて美人でまるでモデルのようなサユリさんは


きっとみんなの憧れなんだろう


あたしも先輩と仲良くて容姿的にもお似合いな
サユリさんに何度なりたいと思ったことか…


校舎に入って人数が疎らになったころ


少しの間沈黙になった


あたしは斜め前を凛と歩くサユリさんの横顔を見た後


気まずくて少し顔を伏せた


サユリさんにとって先輩は大切な幼なじみ


そんな幼なじみを傷付けたあたしを


サユリさん達はどう思っているだろう?


責められるだろうか、軽蔑されるだろうか


でも、それでもいいと思ってる


それだけ、あたしは
きっと先輩を傷付けているから


そして傷付けられてもなお
今まで通りに接してくれる先輩に


甘えているのも事実だから…


「絢音ちゃん…」


沈黙を破ったサユリさんの声に
心臓と肩が同時に跳ねた


< 179 / 378 >

この作品をシェア

pagetop