大空の唄
隣を歩くのはおこがましい気がして
あたしはサユリさんの一歩後ろを歩く
校舎に入るまでサユリさんは
会う人会う人に声をかけられた
サユリさんの同級生そして後輩、男にも女にも
スタイルも良くて美人でまるでモデルのようなサユリさんは
きっとみんなの憧れなんだろう
あたしも先輩と仲良くて容姿的にもお似合いな
サユリさんに何度なりたいと思ったことか…
校舎に入って人数が疎らになったころ
少しの間沈黙になった
あたしは斜め前を凛と歩くサユリさんの横顔を見た後
気まずくて少し顔を伏せた
サユリさんにとって先輩は大切な幼なじみ
そんな幼なじみを傷付けたあたしを
サユリさん達はどう思っているだろう?
責められるだろうか、軽蔑されるだろうか
でも、それでもいいと思ってる
それだけ、あたしは
きっと先輩を傷付けているから
そして傷付けられてもなお
今まで通りに接してくれる先輩に
甘えているのも事実だから…
「絢音ちゃん…」
沈黙を破ったサユリさんの声に
心臓と肩が同時に跳ねた