大空の唄


『はぁ!?』


同い年くらいの男の人だった


あたしはジッとその人を睨み付ける


あたしの方が絶対先だもん
誰にも渡さない


男の人は一瞬ポカンと口を開けていたけど


直ぐにお腹を抱えて爆笑し始めた


『な…何ですか!?』


あたしは頬を膨らませさらにその人を睨み付ける


『いや…ご、ごめん…
そんなにSONG OF SKY好きなの?』


『好きです!"大"が無限に付くくらい大好きです!』


即答すると再びその人は爆笑し始める


『何なんですか!?
なんで笑うんですか?』


あたしは本当のことを言っただけなのに…


『はっ…はぁー
ごめんごめんつい!

そんなに好きなら譲るよ』


その人は呼吸を整えながら言う


『本当ですか!?』


『本当、本当!

その代わりそれ、聞いたら俺に貸してよ。
CDにコピーするからさ』


一瞬迷った、でも譲ってくれたんだし…貸すだけなら…


『いいですよ…』


『本当?ありがとう
じゃあ携番教えて』


『携番!?』


『そう、携番…
連絡先分からないと貸してもらえないじゃん』


そ…そっか…


初対面の人に携番を教えることに抵抗がなかった訳じゃない


でもあたしは、何故か何の疑いもなく携帯を取り出し


赤外線で携帯番号とアドレスを転送した


『ありがとう。君、名前は?』


『泉…泉 絢音です』


『絢音ね!
俺は、東城 海斗!よろしく

じゃあまた連絡するね』


これが先輩との出会いだった


それが同じ学校の先輩だと知ったのはもう少し後の話。


そしてその先輩が好きになるのももう少し後の話…


< 183 / 378 >

この作品をシェア

pagetop