大空の唄
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「絢音ちゃんに出会ったから
海斗はまた笑うようになったんだよ」


サユリさんは目を細めて微笑んだ

「でも…でもあたしはまた
先輩のことを…!」


先輩の気持ちを


裏切った。


あたしは目を見開きサユリさんを見る


サユリさんは少し驚いたような顔をしたけど


直ぐにまた優しく微笑んだ


「絢音ちゃんは裏切りじゃないわ」


え?


裏切りじゃ、ない?


「アイツ、絢音ちゃんのことずっと好きだったくせにさ

ヘタレだから中々その思いを伝えられなかったの」


サユリさんはクスクスっと微笑した後少し悲しそうな顔をした


「でもある日の夜、海斗から電話があったんだ


『絢音好きな人いるかも…』ってね。」


もしかして、ライブの日─?


「海斗かなり焦ってたわ
テンパっちゃって落ち着けって言ったのに

無視して、焦ったまま告白しちゃって」


バカでしょ?
サユリさんはそう言って再び微笑む


先輩、が…?


そんな風に思ってくれてたなんて…


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