大空の唄

紅色の空-SORA-

*************


「…と言うわけなんです」


「そっか、よかったじゃん
先輩に想い伝えられて」


翔の言葉に同調するように俺の横にいた陽も大きく頷く


コイツの先輩の話なんて俺には関係ねぇ…


俺は相づちも打たずにファッション雑誌のページを1枚捲った


もうお馴染みになってしまったこの光景


今さらどうこう言う気はない


…ってか言っても意味ないだろうから


言わないけど…


最近、少し疑問に思うことがある


これもめんどくさいから聞かないけど…


時計を見るとすでに10時を回ろうとしていた


コイツ、毎日毎日こんな時間まで外出して大丈夫なのか?


当の本人は時間も気にせず楽しそうに話している


呑気なヤツ…


コイツも一応は女。


ましてや未成年で学生。


門限はないのだろうか


親は何も言わないのだろうか


そんな素朴な疑問。


まあ、いろんな事情ってもんが
ある可能性もあるけど……


こんなヤツの育つ家庭にまさかそんなことはないだろう


それとも親も同じくらいバカで
危険だという意識がないのか…


……あり得る。


俺は妄想を膨らませながら
1人で納得してまた雑誌を1枚捲る


「帰りたくないな…」


< 187 / 378 >

この作品をシェア

pagetop