大空の唄
───────
──────
────



「今日のスペシャルゲストは─

人気バンド、SONG OF SKYのみなさんです!

おはようございます」


「「「おはようございます」」」



朝から妙にテンションが高い
女性司会者をある意味、尊敬しながら


俺もそれなりに自分を飾る


今日は朝のラジオ番組のために


ラジオ局に来ている


それにしても、眠い。


「えーっと、みなさんは最近発売した新曲が
週間ランキングで2週連続第1位だそうですね」


「はい。お陰様で」


翔が自称爽やかスマイルを司会者に向けると


司会者は少し赤面した


単純な女


表情には出さずにそんなことを考えていると


司会者は俺の方に視線を移した


「良い曲を作るために
何か工夫していることとかあるんですか?」


良い曲を作るために…


「工夫とかは特にないです」


きっとこの女が言っている
"良い曲"というのは"売れる曲"
という意味なのだろう


俺は別に売れる曲を意識して
曲を作っている訳じゃない


「ただ、自分の感じたことを
なるべく素直に音に乗せることは意識しています」


自分の価値観が、自分の想いが
聞く人に伝わって、共感を呼べば売れるし


伝わらなかったり、共感を呼べなかったら売れない


そんなものではないのだろうか


まあ俺らの場合、ルックス的なものも
売れている理由の1つな気がするが…


< 189 / 378 >

この作品をシェア

pagetop