大空の唄
「あからさまに嫌な顔すんなよ」
ただいま控室。
椅子に座り顔をしかめる俺を見て
翔はおかしそうに笑う
嫌なもんはイヤだ
取材と撮影の間、感情を出せない分
今存分にイヤな顔をしておくしかない
「いいじゃん。かわいい女の子との仕事」
俺は好きだなそう付け足して
わざとらしくニヤリと笑う翔
「それが嫌なんだよ!」
女との仕事。ましてや一緒に撮影
こんなにヤな仕事はないというぐらい
俺にとって苦手な仕事の1つである
「もー照れちゃって」
「照れてねぇ!!」
そんなやり取りをしていると
「SONG OF SKYのみなさん
スタンバイお願いします」
さっきの松田とかいうヤツの声が響いた
はぁ…
「「はーい!」」
いつも通りテンション高めの翔と陽
そしてため息混じりに立ち上がる俺
俺たちはこの時知らなかった
これから自分達の身に起こる
何かを………