大空の唄


「おい空…あれ…」


翔もナミの存在に気が付いたのか


そう小さな声で囁く


「あぁ…あれは間違いなくナミ……だろうな」


以前より髪色が少し明るく、化粧も濃いが


あの雰囲気。あの笑顔。


俺は直ぐに目を背けた


見てない、俺は何も見てない
そう思うしかなかった


「ではSONG OF SKYのさんこちらへ」


そうだ。


もう俺らにとってアイツは何の縁も所縁もない


赤の他人と同じなんだ


俺たちにカメラのフラッシュが降り注ぐ


「空君目線こっちね」


それでも昔の記憶を
アイツの言葉を


思い出さないわけじゃない


「翔君もう少し左」


アイツは…


孤独になった俺らにとって
唯一信じられるヤツだった


そう思っていたんだ


「陽君は遠くを見ることを意識して」


裏切られたとき思ったよ


他人は、所詮他人


そして俺らは"SONG OF SKY"は
モノに過ぎないんだってね


< 200 / 378 >

この作品をシェア

pagetop