大空の唄
ちなみに今このバカが睨み付けているのが
噂のファッション雑誌"Rain"
今日発売した。
それを買うか買わないかはどうでもいいが
わざわざ家に来て見るのは止めてほしい
「近い…」
はぁ?
何が?そう聞き返すより先に
俺の前に雑誌のあるページが突き付けられる
「コレも、コレも、コレも!」
そう言って指差された写真
それはどれも俺とモデルとのツーショットだった
「これの何が近いって?」
すると絢音は更に頬を膨らませ
「距離!蒼空とモデルさんとの距離!」
そう言ってパタリと雑誌を閉じた
距離って…
「仕方ないだろ。
つか言われた通りに撮影しただけだから」
俺だって好きでこんな撮影をしてる訳じゃないし
出来るもんならやりたくない
「それは分かってる…
これはあたしのワガママで
自分勝手な考え方だって
あたしに何か言う権利はないって
でも…」
目を伏せ俯いた絢音は小さく呟いた
「嫌…なんだもん」
何も言うことができない
バカじゃねー
ワケわかんねー
そう言ってやりたいのに…
言葉が喉で詰まって声にならない