大空の唄
「聞きたい?
たぶん蒼空にやけると思うよ?」
渇いた冷たい俺に
純粋で無邪気な笑顔を向ける絢音
「まず、歌声」
ただのバカだと思ってた
「いつも一生懸命なとこ」
世間知らずで、どこか抜けてて
「話してて落ち着くとこ」
こんな状況になれば泣いて
化けの皮なんて剥がれるだろうって
スキなんて、中途半端な気持ちで
言ってたんだろうって…
だけど…
「不器用だけど
本当はとっても優しいところ」
コイツは何も変わらないうえに
全く動じない
むしろ「まだまだあるよ?嫌いなところもいっぱいあるけど聞く?」
なんて笑う余裕さえある
俺はこの笑顔さえ疑うべきなのか?
「蒼空。どうしたの?
そんな悲しそうな目、しないでよ」
「俺がSONG OF SKYの空じゃなかったら…」
「え?」
「俺がSONG OF SKYの空じゃなくても同じこと言えるのかよ。」
自分でも柄にもないことを言っているのは分かっている。
でも頭で分かってても心が言うことを聞かない。
「言えるよ。だってたぶん私蒼空の正体知る前から蒼空の優しさに気付いてたもん。」
絢音は俺の肩を持ちゆっくり起き上がった
「蒼空は独りじゃないよ?
自分で思う以上に愛される存在なんだよ?」
そして気が付けばその小さな身体に
包まれていた