大空の唄
このあいだと同じように
編集長に挨拶をして説明をうけて準備をする
「スタンバイお願いします」
いつもと同じ、はずなのに
そう感じさせないのはこのざわめきのせい
これは気のせいか、思い込みだろうか
もしそうならばそれでいい
…むしろそれがいい。
対談も撮影も精一杯、偽物の笑顔を作る
こういうのは得意だ
平気なふりして自分を隠すことは…
「疲れた〜」
撮影も終了し、控室で脱力する俺ら
何も、なかった
むしろアイツの姿さえ見なかった
「気疲れしちゃったよ」
珍しく陽が本気な顔して弱音を吐く
でも、よかった
本当によかった。
そう安堵した時だった
コンコン
「空君、ちょっと来てもらえるかな?」
ノックして返事も待たずに部屋に入って来たのは松田だった
お、俺?
「いいかな?」
顔を歪ませた俺に気付いたのか
松田は少し申し訳なさそうに尋ねる
その問いに、"NO"って選択肢は存在するのかよ
俺は重たい身体を無理矢理奮い起たせ立ち上がった