大空の唄
松田に連れられてやって来たのは編集長の部屋だった
「空君、君にお願いがあるんだよ」
おそらく接客用であろうソファーに腰かけると
正面の編集長は単刀直入そう言った
「何ですか?急に…」
そんなに真剣な目をして…
「それがね、君に弊社のポスターのモデルをしてもらいたいんだよ」
ポスターのモデル?
「うちは新人の育成に力を注いでいてね
今度うちの新人モデルがデザインした
イヤホンを売り出す予定なんだ」
なるほど…
「だからその宣伝モデルを俺に?」
そう言うと編集長は頷いた
「もう君の所属事務所の社長には許可を得てるんだが
君の気持ちはどうだい?」
まただ…
世の中には、選択肢のない質問がたくさんある
きっとこれだって
「いいですよ」
それ以外の答えは受け入れられない
「よかった!では、詳しい内容が決まったらまた連絡するよ」
興奮気味に笑う編集長
本当ならこの会社と余り関わりを持ちたくない
だけど、そんなこと
言えるわけがなかった