大空の唄
「はぁ…」
「なーにぼーっとしてんだよ?」
その声にハッとして振り返った
「えへへ、誰かさんの真似ー」
そこにはブイサインをして
得意気に笑う絢音がいた
まさかコイツに言われるとは
でもさすがに、昼間気疲れした分
夜もバイトってのは辛い
「どうしたの?お疲れ?」
そう言って顔を覗き込まれた俺は顔を背けた
「何でもねーよ」
そのアホ面を人差し指で軽く押す
鈍感なくせに
こういうとこだけ敏感…
「そっか…」
絢音はそう言って押された額を手で押さえた
「心配しなくていいから」
問い詰めてこないものの納得はしてない顔
わかりやすいヤツ…
「好きな人がそんな顔してたら
世間の乙女はみんな心配するよ…?」
「はぁ?」