大空の唄
「ねぇ空〜」
打ち合わせも終わりそそくさと部屋を出た俺は無情にもナミに呼び止められる
一瞬足を止めチラリと後を見たが
無視して楽屋の方に足を進めた
残念ながら、厄介事に巻き込まれる可能性があると理解しながら
こいつの話に耳を傾けるほど俺はお人好しじゃない
「ちょっと!待ってよ
元気だった?空っ」
「さぁな…」
掴まれた腕を無理矢理振り払い
返したのは冷たい視線と冷たい言葉
ナミはさすがに弱気になったのか
少し顔を歪めた
今さら、被害者ぶるな
俺はそんなナミを無視して再び足を進めた
しかし──
「ふぅーん…そんな態度取っちゃっていいんだ…」
その足はそんな意味深な言葉に
再び止められてしまう
「どういうことだ?」
振り返ると…ナミはクスッと怪しく笑った
「あたしならバラすこと出来るんだよ?
なぜか空たちが隠したがってることを…」