大空の唄


その日、蒼空からメールの返信が来ることはなかった


とはいっても基本的に返ってくることの方が珍しいんだけど…


蒼空あんなんだし、いちおう大人気の芸能人だし


あたしの相手なんてしてる暇ないんだと思う


だからあたしは高望みはしない


ただあたしの気持ちが、想いが蒼空に届けばそれでいい。


それだけでよかった。


そう思ってたからこそ次の日いつものようにバイトに行ったあたしは耳を疑った


「瑛さん!今日も蒼空のやつサボりですか?」


その瞬間…空気がサッと冷たくなったのはいくらあたしでもよく分かった


一呼吸置いて少し切ない顔をした瑛さんは小さく告げた


「蒼空、バイト辞めちゃったんだって」


へっ?


蒼空がバイトを辞めた…?


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