大空の唄
「もういっそのこと音楽なんて辞めちまうか」
「ばーか。真顔で言ったらガチに聞こえる」
「こいつがお前を縛り付けて苦しめてんなら
俺は本気で辞めてもいいと思ってる」
翔はそう言って自分の後ろにある愛用のベースを親指を立てて指差した
馬鹿言うなよ…
「冗談は寝て言え」
音楽で有名になってしまった時から
俺たちはもう後戻りなんて出来ないんだよ
「空…世界は思ってるより広い
俺たちの進む道は必ずしも1つじゃないんだぞ?」
翔の目は本気だった。
それぐらいいつも一緒にいるからわかる
でも…
「分かってるよ」
今の俺には一本道にしか見えないんだ