大空の唄
真剣に、まじめに言っていることぐらい
最初から分かっている。
でも俺は、そんな空気を嫌ってわざと冗談っぽく答えてしまう
「はっ、何言ってんだよ
そんなことできるわけないだろ?
そんなことしたら、お前らだって…」
陽が置いたピンク色の液体が入ったグラスの横に
パープルの液体が入ったグラスを置く
カラン、と少しグラス同士が触れ合った音が妙に耳に響いた
「空!!逃げないで!」
そうより一層まじめな顔をして言う陽
一度合ってしまった目はどんなにそらそうとしてもそらせない
「俺らが好きで始めた音楽が、今はお前を苦しめている
俺らは苦しむためにこの世界に入ったわけじゃないだろう?」
そう言って陽の後ろから割るように入ってきた翔
俺が音楽に苦しめられている…
うすうす気づいてはいた。
でも、受け入れたくなくて目をそらしてきた。
「空ばかりが苦しんで我慢して・・・
俺らはそんな空を見て見ぬふりして・・・
そこまでしてこの世界で
音楽を続けたいとは思わない!」
正解なんて分からない
どうすればいいかなんて見当もつかない
「お前らの気持ちは嬉しいよ…
でも、」
俺だって唯一信頼できる2人を犠牲にして
自分だけ逃げることなんて…
出来ない。