大空の唄


それでも周囲との関わりも
ゼロではなかった


特に俺らが慕っていたのは
行きつけの楽器屋のおじさん


高校生になると俺らはそのおじさんに勧められて地元の小さなライブに出場し始めた


あのころライブが本当に楽しくて楽しくてたまらなかった


ライブの時だけ普段は手もつけない髪をワックスでセットしてみたり


お洒落をしてみたりしてカッコつけてたな


あの頃が僕らのライブと私生活との2つの顔の使い分けの原点かもしれない


そんな僕らの前にある日
一人の少女が現れた


あれは確か高校に入って2回目の夏だった


一見物静かで優しかった彼女


みんなに哀れまれていた僕らを
慕っていつも一緒にいてくれた


俺らも…そいつのことを慕ってた



…でも。


< 254 / 378 >

この作品をシェア

pagetop